第7回試験問題へのご質問に対する回答No.2
2017.11.2
解答速報を受けて頂戴したご質問には、ブログにて御回答申し上げましたが、
その回答に対して、さらに御質問を頂戴しました。
「2級・問6」と「1級・問40」について、以下の通り御回答申し上げます。
■2級・問6
【質問】
設問には、「可能性が最も高いもの」とありますが、
2級公式テキストのどこに最も可能性が高い旨記載されているのでしょうか?
また、可能性は確率とも捉えられますので、
回答候補の確率(可能性)はそれぞれ何パーセント程度と考えられる結果、
(4)が答えになったのか、ご教示くださいますよう、お願い申し上げます。
(ご質問の原文より抜粋・一部改変)
【回答】
ご指摘、ありがとうございます。
さて、星間塵については、P85・プラスワン下段の「星間空間にあるもの」のところで、
「星間塵は固体微粒子であり、その大きさは約0.2μm以下である。
ケイ酸塩鉱物(シリケイト)や石墨(グラファイト)からなるといわれているが、
必ずしも明らかでない。』と記載されています。
「必ずしも明らかでない」という文言はありますが、
この可能性が最も高いということで、具体的な物質の表記になっています。
揮発性物質が凍っていることも考えられなくはないですが、
そのような物質だけが純粋に存在しているとは考えにくく、
存在しているとしても、ケイ酸塩鉱物や石墨の塵に混じって存在していると考えられ、
白い煙を出す(②)やサンプルが蒸発してなくなってしまう(③)ことは考えにくいということで、
④を正解にしています。
なお、可能性についての具体的数値は提示できませんが、④以外の可能性はきわめて低いと考えています。
なお、星間空間での元素の存在比(個数比)は、水素とヘリウムを除けば、多い順に、
酸素>炭素>窒素~ネオン>マグネシウム~ケイ素~鉄(~はぼぼ同じ)の順になっており(図表5-10)、
結合しやすい物質としてケイ酸塩(主にケイ素と酸素)、石墨(炭素)があり、
これらが星間塵をつくっていると考えられています。
■1級・問40
【質問】
出題のスペクトル図は『超・宇宙を解く』P28図6.4で紹介されている3C 273で、
このスペクトルがシンクロトロン放射でのスペクトルであることがはっきりしていれば、
(1)のシンクロトロン放射という選択肢で正しいと思います。
しかしながら、現在のところ、3C 273からのスペクトルはシンクロトロン放射、
あるいは逆コンプトン過程で形成されていると考えられており、その理由としては、
スペクトル観測からはべき乗型スペクトルを発生させる機構からの放射であるとまでしか
推定できないからではないでしょうか?
出題の図のようなスペクトルは、なにもシンクロトロン放射からのスペクトル以外にあり得ないわけではなく、
べき乗型スペクトルを発生させる、シンクロトロン放射や、逆コンプトン過程からでも形成されるわけです。
換言すると、シンクロトロン放射を含む、べき乗型スペクトルを発生させる機構であれば、
このようなスペクトル図になるわけです。
少なくとも私は、(1)にシンクロトロン放射、という選択肢があって、
(4)にシンクロトロン放射や逆コンプトン過程などべき乗型スペクトルを発生させる機構、という選択肢がある中で、
図のようなスペクトルを形成するのはどのような機構からか、との設問に対して答える際に、
「3C 273からのスペクトルはシンクロトロン放射、あるいは逆コンプトン過程で形成されていると考えられている」
とのテキストの記述を思い出し、逆コンプトン過程からの可能性もあるので、(4)を選んだのです。
(解答速報に)「「べき乗型スペクトル発生機構」という呼び方はない」、との指摘もありましたが、
選択肢には専門用語として確立したものだけを並べたとの限定はないので、
一般論としての言い方も含めて表現しているとの理解では誤りとまで言えるのでしょうか?
このように考えると、(1)が正解、というのが腑に落ちないのです。(ご質問の原文より抜粋・一部改変)
【回答】
「図のような両対数のスペクトル図で直線状になるスペクトルは、どのような機構で形成されるか。」
という出題文にあるように、ここは、あくまで例示として出したもので、
3C273自体のスペクトル発生機構を尋ねている題意ではありません。
また同様に、機構を尋ねているので、
選択肢の中に、シンクロトロン放射と逆コンプトン過程の両方があれば、
どちらも正解になりますが、シンクロトロン放射しかないので、
①が正解ということになります。
また仮に、図(3C273)のスペクトルを形成している機構を尋ねた問題だと、
②の黒体輻射もスペクトルの一部を形成しているので正解となります。
視覚的にわかりやすくしようと例示したため、
3C273の具体的なケースまで、活動銀河の章等まで含め、
よく勉強されていると、かえって混乱を招いてしまいましたが、
あくまでも、べき乗型スペクトルの例示として出しているということで、
ご了解いただきたいところです。
しかしながら、いただいた御指摘も理にかなっており、
(4)の「べき乗スペクトル発生機構」という専門用語はありませんが、意味として、
(4)を日本語として「べき乗型スペクトルを発生させる機構」と捉えることもできますので、
選択肢として不明瞭であったとの結論に至りました。
よって、問40につきましても全員正解とさせていただきます。
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